私は時々(周期的)にSFが無性に読みたくなります。一旦「SFモード」に入ると何冊も続けてSFばかり読むのですが、日本ではSFの不遇な状況が長らく続いているので、面白い作品に出合うのが難しくなってきました。本年度の本屋大賞作「鹿の王」(上橋菜穂子)も私には今一つでした。そんな中、久しぶりに面白い作品に出会えましたのでご紹介いたします。

「火星の人」アンディ・ウィアー kindle版

不慮の事故により火星にたった一人で取り残された技術者の壮絶なサバイバルと彼を帰還させようと奮闘する地球側スタッフを描いた作品です。絶望的な状況と、生存不可能な環境の中で主人公は様々な工夫と持ち前の陽気さと本物の「ポジティブシンキング」で何度も苦境を脱していきます。今の日本では能天気な馬鹿たれの自己弁護によく使われる「ポジティブシンキング」ですが、どんな状況、状態であろうと「自分に出来ること」に全力で取り組むことが本当の「ポジティブシンキング」なのだとよくわかります。久しぶりに「陽気で素敵なヤンキー」に出逢えました、ハイ。

「大航宙時代」ネイサン・ローウェル kindle版

親を亡くし、植民星から放り出されることになった若者の成長物語です。仕事を求めコック見習いとして宇宙船に乗り込むことになりますがまぁ、いわゆる「水夫」です。そして舞台設定は遠い未来の宇宙ですが、エイリアンも出てきませんし、目新しいガジェットや技術、そして「戦い」すらもありません。「宇宙船」である必要があるのかと突っ込みたくなりますが、これが抜群に読み易く面白いのです。悪人も出てこない、若いアンちゃんの奮闘記で昔で言う「教養小説」ですナ。早く続きが読みたいものです。

この2作品とも電子書籍から出発し、製本出版されています。日本でもアマゾンを中心に電子書籍形式での自費出版(?)が急速に増えているようです。すそ野が広がらないと高い山にはなりませんので良いことだと思います。(日本の場合、今のところ読むに堪えるものは少ないようですが)

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DSCF8629 (640x480)岳飛伝もそろそろ終盤です。

普段はiTunesを使うことはほとんどないのですがアップルからAppleMusicの3か月無料トライアルのお誘いメールがきましたので乗ってみることにしました。

いや、これは結構凄いです、ホント。陳腐な表現で申し訳ないですが「自宅がCD店」状態です。まだまだ邦楽は弱いですし、聴けないアーティスト(例えばビートルズ)もいますが、とっかえひっかえ様々なCDが聴き放題なのは子供の頃の夢だった「家が本屋だったら・レコード店だったら」を叶えてくれます。3か月という太っ腹なお試し期間を存分に楽しみたいと思います、ハイ。