祝日なので、BGMはビル・エバンズ Alone-again
ゴールデンウイークですが、塾は通常通りです。家族の団欒を邪魔するつもりはありませんので、予定がある場合は振替しますが、今年はあまり(ほとんど)変更の連絡がありません。学校の授業が進まないぶん、塾で頑張りましょう。
さて、村上春樹さんの新作が爆発的に売れています。店頭では「平積み」ではなく「タワー積み」で売られ、徹夜で並ぶとか、それは「本」の売れ方ではなく、もう完全に「祭り」と化しています。私も好きな作家のひとりではあるのですが、正直、現在の状況には興醒めしています(新作は購入していません)。
村上春樹さんについては、いずれ機会があればまた書いてみたいと思いますが、本日のテーマは「村上春樹は爆発的に売れるのに、なぜ日本SFは売れないのか」です。
村上さんの諸作品、古くは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」や「羊男を巡る冒険」、最近では「海辺のカフカ」、そして「祭り化」のきっかけとなった「1Q84」などなど、どれもみな立派なSFであります。(特に「1Q84」なんざ、SF以外の何もでもなく、しかもSFとしてはたいして出来は良くないのであります…村上春樹さんを貶めるつもりはありません、ハイ)
何が言いたいかといえば、現在の日本SFは星新一・小松左京・筒井康隆に代表される30数年前のSF黄金期に匹敵しているのです……売れていませんがね。
『廃園の天使シリーズ』の飛浩隆、『天冥の標シリーズ』の小川一水、『マルドゥツク・スクランブル』という傑作シリーズがありながら、SFが売れなくて(そんなことはないか)「天地明察」や「光圀伝」などの時代物でヒットを飛ばした冲方丁などや、エッセイ集にくらべたら、全く売れないので最近はSFを書いてくれない(そんなことはない…はず…)『武装島田倉庫シリーズ』の椎名誠(椎名さんの「水域」は私のもっとも好きなSF作品のひとつです)などなど
読書の大きな楽しみの一つに同時代の作家をリアルタイムに読むことがあります。現在進行中の小川一水『天冥の標シリーズ』 間違いなく日本SFを代表する傑作SFシリーズです。
もっと売れて欲しいな、ホント。