明日の私立高校入試を皮切りに、入試本番に入っていきます。当塾では中三生は9月から週4回の充実コースに変更してもらい、10月からは週5回の受験対策コース(月謝は据置)になります。2学期の期末テストが終わってからは、冬期講座も含め、毎日、毎日、ひたすら入試対策プリントをこなしてきました、それこそ飽きるほど。いよいよ、これまで積み重ねてきたものを発揮する時がやってきました。私立、公立前期、公立後期とこれから思いっ切り突っ走て欲しいと心より願っています。頑張れ!
「波の音が消えるまで」上下 沢木耕太郎 新潮社
高校から大学生時代に開高健さんとともに1番夢中になって読んでいたのが沢木耕太郎さんでした。「一瞬の夏」で虜になり、「破れざる者たち」などの一連のドキュメンタリーや、エッセイ集などを読み漁り、「深夜特急」ほど次巻が待ち遠しい作品はありませんでした。しかし何時しか沢木さんからは遠ざかっていて、久しぶりの沢木耕太郎作品になりました。著者初のエンターテインメント長編で、博打6、サーフィン2、恋愛1、バイオレンス1と言った配合ですが、基本は賭博(バカラ)小説になっています。主人公は「深夜特急」を旅していた頃の若い沢木さんと同じ年頃の青年です。博打小説ですが、何せ沢木さんなので、知的で上品に仕上がっています。ただまぁ、初のエンターテインメントということを意識したのでしょうが、「美少女とマフィアのボス」のくだりは必要ないと思いますし、中年も後半に差しかかった私には主人公の「知的なセンチメンタリズム」が鼻に付き、上手く感情移入が出来ませんでした。若いころ沢木さんに共感していたのはこの「知的なセンチメンタリズム」なのかと改めて気づかされましたが立派な中年となっている今では「何を気取ってんだ、この馬鹿たれが」とオッチャンはアンチャンに説教の一つも垂れたくなるのであります、ハイ。
「国境」上下 黒川博行 文春文庫
芥川・直木賞などの文学賞に興味関心が無くなって久しいのですが、黒川博行さんが昨年直木賞を受賞した時は読んでみようかなと思いました、大阪在住の作家ですしね。受賞作は「疫病神」というシリーズ物の第5作目なのですが、シリーズ物を途中から読みだすのは礼儀に反しますので、第1作から読むことにしました。しかし、シリーズ物では珍しいのですが、作品ごとに出版社が違い、第3作目は電子書籍化までされているのにシリーズ最高傑作とされている第2作目の「国境」が絶版になっていました。昨年の秋ごろまでは古本市場で上下とも文庫で4500円以上の値段がついていて、「文庫の古本で1万円かかるのか」と読むのを躊躇していましたが、ようやく版権の処理が付いたのか昨年12月に出版社が変わり、再発刊されましたので、第1作、第2作と続けて読んでみました。第1作目はまぁ、可でも不可でもなしという程度でしたが、第2作目の「国境」は作品の本筋よりも舞台となっている「北朝鮮」についてとても詳しく描かれていてとても秀逸でした。時代背景は先代将軍の時ですが、本質的なことは今も変わらないと思います。これまで「なんでなんだ、なぜあんなことになるのだ」と理解不能だった事柄について、例えば「平壌」市民と「地方」市民の強制的な住み分けなど「そうゆうことなんだ」と少しですが分かった気になりました。ただ、「読み物」としてはこのシリーズはあまり好みではなく、第3作目の上巻で読むのをやめてしまいました。他の作品も何点か読んでみましたが、好みの問題で申し訳ないですが今後黒川博行作品を読むことは無いと思います。ただ、この「国境」は本当にお勧めです。
「岳飛伝-十一巻」 北方謙三 集英社
えー、この本については今月末に新刊がでますので、その時に合わせて紹介できたらなぁと思っています。